MRって100くらいは余裕で落ちるよね。200落ちたって話も聞きます。
昨日まで普通に勝ててたのに、今日は何をやっても噛み合わない。気づいたらMRが3ケタ近く減っていて、「あれ、俺、下手になった?」と真顔になる。あの感覚です。
界隈では「MRなんて200くらい平気で上下するから気にすんな」という慰めが昔から言われてます。優しい。優しいんだけど、根拠を聞いたことはありません。本当に200も、実力と関係なく動くのか?
気になったので、Pythonでシミュレーションを組んで確かめました。動きます。しかも思ったより豪快に。今日はその数字をお見せします。
なお、そもそもMR(マスターレート)のベースになっている「イロレーティング」って何?という話は別記事に書いたので、仕組みから知りたい人はそちらもどうぞ。

実験:実力が「全く変わらない人」を10万人戦わせてみた
まず一番シンプルな実験から。
こういう人を想像してください。実力が完璧に安定していて、常に同格の相手と当たり、勝率はきっかり50%。上達もしないし、衰えもしない。いわば「実力が固定されたロボット」です。
このロボットを10万人用意して、それぞれランクマを回させます。勝てばMR+8、負ければ-8(同格同士のMRの増減はだいたいこれくらいです)。実力は全員一切変わらないので、もしMRが実力を正確に表すなら、全員ずっと同じMRのはずですよね。
結果がこれです。

帯がラッパみたいに広がっていくのが見えると思います。実力が1ミリも変わっていないのに、です。
数字で言うとこうなります。
| 試合数 | 95%のロボットが収まる範囲 |
|---|---|
| 50試合 | ±112 |
| 100試合 | ±160 |
| 200試合 | ±224 |
| 400試合 | ±320 |
100試合回すと、実力不変でも±160は普通の範囲。200試合なら±224。つまり「200落ちた」は、150試合も回していれば統計的にごく普通に起きる出来事です。実力が全く変わっていなくても。
「MRなんて200くらい平気で動くから気にすんな」、あの慰め、正しかったんですね。数字の裏付けが取れました。
なぜこんなに動くのか
理屈も簡単に。スト6が、1試合の結果がブレやすいゲームだからです。
だいたいのキャラの体力が10000。基本的なコンボで2000くらいは持っていかれて、大攻撃パニカンSA3絡みのフルコンなら6000近くいく。1回の読み負けで試合が半分以上決まります。
試合を決める「回数」がそもそも少ないんですよね。4回クリーンヒットで勝てるゲームは、裏を返せば1〜2回の事故で全部ひっくり返る。実力どおりの側が事故で落とす試合が、構造的に一定割合まざります。
麻雀と同じです。どんなに上手い人でも半荘1回なら普通に負ける。でも1000半荘やれば勝ち越す。短期は運が効いて、長期は実力が出る。「スト6って運ゲーじゃないの」への正確な答えは、これだと思います。
実験2:じゃあ「着実に上達してる人」のMRはどう動くのか
ここからが本題かもしれません。
実力が変わらない人の話は分かった。でも僕らは上達しようとしてランクマを回してるわけです。強くなればMRも素直に上がってくれるのか?
そこで2つ目の実験。今度は「1000試合かけて、実力が着実に上達していく人」を大量に用意しました。サボらない、停滞しない、確実に強くなり続ける理想のプレイヤーです。つまりあなたの事です。
ただしMRが上がると当たる相手も強くなる、というランクマの仕組みは再現してあります。
結果がこれです(グラフは1000試合で実力が1500から1700まで上がるパターン)。

赤い破線が「真の実力」、青い帯がMRの散らばり、灰色の細い線が個人のMRの動きの例です。
まず読み取れること。MRの中央値は、真の実力にちゃんとついていきます。強くなったぶんは、長期的にはちゃんと数字になる。やったね!
でも灰色の線を見てほしいんです。上下にガタガタ暴れて、長いこと停滞したかと思えば急に伸びる。実力は一定ペースで上がり続けているのに、体感はこれです。
着実に上達し続けている人でも、「直近100試合で見るとMRが下がっている」瞬間が、全体の3〜4割あります。
これは上達ペースを変えて何パターンか回した結果です。1000試合で実力が200上がるような、かなり速いペースの人で約3割。もっと現実的な、じわじわ上達するペースだと4割に近づきます。つまり、ゆっくり強くなっている人ほど「最近落ちてる……」と感じる期間は長い。逆説的ですが、そういう構造なんです。
しかもこの割合、200試合時点でも1000試合時点でもほぼ変わりません。上達している最中に「下がって見える期間」は、確率的に必ず訪れます。それはあなたがサボったからでも、伸び止まったからでもなく、上達していてもそう見える期間が構造上3〜4割あるからです。
シミュレーションの条件について
一応、条件を書いておきます。
今回の計算は、Pythonで「同格の相手と当たり、勝敗で±8動く」という単純化したモデルを組んで回したものです。ただ、この±8はイロレーティングの計算式で同格同士が戦った場合の値と一致するので、手抜きの仮定ではありません。
相手のレートに幅を持たせたパターンや、上達ペースを変えたパターンも検証しましたが、傾向は変わりませんでした。実際のスト6のMRの計算式は公開されていないので、あくまで「ブレの大きさの目安」として見てください。
結論:100〜200の上下は「揺らぎ」の範囲です
まとめます。
- 実力が全く変わらなくても、100試合で±160、200試合で±224くらいは普通に動く
- 着実に上達していても、直近100試合で下がって見える期間が3〜4割ある
- それでも長期的には、MRは実力にちゃんとついてくる
だから、MRが100や200落ちても、あなたが下手になった証拠じゃないです。麻雀で3半荘連続ラスを引いても雀力が落ちたわけじゃないのと同じじゃないかなと思いますね。
MRを気にしすぎないための考え方
身も蓋もないですが、短期の数字は運でブレるので、そこを気にしても仕方ないです。下振れの日にMRを見て一喜一憂するのは、麻雀で1半荘のラスに絶望するようなもので、あまり意味がない。
じゃあ何も考えなくていいのかというと、そうでもないです。数字は運でブレますが、内容はブレません。
確反を取り逃していないか。コンボをミスっていないか。苦手なキャラの、知らない連携でやられていないか。このへんは、MRが上がろうが下がろうが関係なく残る課題です。逆に言えば、ここを潰していけば、さっきのグラフの赤い線(真の実力)が上を向く。数字のほうは、遅れてでも勝手についてきます。
見るべきものが逆なんですよね。数字を見て凹むんじゃなくて、内容を見て直す。
……と、偉そうに書いてますが、僕もMRが溶けた日はしっかり凹みます。凹んで、リプレイも見ずに寝ます。ま、その心理になれたら苦労しねーわな。理屈を知っておくと立ち直りが少しだけ早くなる、それくらいのもんです。
なお、「日本のMRは海外より価値が高い」みたいな話も、同じイロの考え方から検証できます。そっちは別記事で。

